非エンジニアがAIで業務効率化を進める方法 情シス不在でも回る手順
2026年8月8日 / 新田 雄三
AIで業務を効率化したい。けれど社内にエンジニアはいないし、自分もプログラミングは書けない。 この状態から始める人に向けて、実際に何をどの順番でやるかを書きます。
私はプログラミングを本業にしていません。経営企画と経営管理を経験してきた側の人間です。 その立場からAI活用を進め、その方法を1冊の本にまとめました。 本書自体を、本書が説く方法で書いたのですが、そこで分かったことを中心に共有します。
1. 最初につまずく場所
多くの人が最初にやるのは、AIツールを比較して選ぶことです。しかしここで止まります。 種類が多すぎて決まらないうえ、選び終えた頃には最初の熱が冷めているからです。
結論から言うと、AIは1つでいい
複数のツールを浅く使うより、1つを深く使うほうが成果が出ます。 非エンジニアにとって難しいのはツールの選定ではなく、「AIに何をどう頼めばいいか」のほうだからです。 そしてその技術は、どのツールでもだいたい共通します。
2. 最初に手をつける業務の選び方
いきなり基幹業務に入れようとすると失敗します。次の3条件を満たす業務から始めてください。
① 毎週のように発生する
年1回の業務を効率化しても、効果を実感する前に忘れます。頻度が高いほど学習が早く進みます。
② 間違えても取り返しがつく
社内資料の下書き、議事録、メールの草案あたりが適しています。対外的な確定文書は慣れてからです。
③ 自分が内容を判断できる
自分が良し悪しを判断できない領域から始めると、出力が正しいか分かりません。 まず自分の得意分野から始めるのが安全です。
具体的には、議事録の作成が最初の題材として優れています。 毎週発生し、失敗しても直せて、内容の正しさを自分で判断できるからです。
3. 役割を分けて指示する
ここが最も効果の大きい工夫です。1つのAIに全部を一度に頼むと、出力が中途半端になります。 そこで、同じAIに役割を分けて、順番に仕事をさせます。
調べ役
材料を集める。前提を整理する。
書き役
集めた材料をもとに書く。
直し役
書かれたものを厳しく点検する。
なぜ分けるとうまくいくのか。役割ごとに物の見方が変わるからです。 書いた本人に校正させると、自分の書いたものを肯定しがちになります。人間の組織と同じです。
1担当につき1つの仕事。これを守ると出力が安定します。
4. 判断するのは人間側
役割を分けると、AI同士が互いにチェックする形になります。ただしそれで安心してはいけません。 採否を決めるのは人間です。
実際にあったことを書きます。本を書いていたとき、校正の担当に置いたAIが、 頼んでいない全文の言い換えを勝手に始めたことがありました。 別の場面では、本文にない内容を引用として持ち出してきたこともあります。
対処はシンプルです
- ●「全体に関わる変更は提案までにとどめ、勝手に適用しない」と最初に指示に書く
- ●指摘は必ず事実確認してから採用する
- ●役割が混ざり始めたら、持ち場に戻す
人もAIも間違えます。だからこそ役割を分けて互いに点検させ、最後に人が決める。 監督する側も点検を受ける対象だという前提で組むのが安全です。
5. 自分以外に広げる
一人で使えるようになった段階では、まだ業務効率化とは言えません。担当者が変われば元に戻るからです。 広げるために必要なのは研修より、次の2つです。
うまくいった指示文を共有する
抽象的な使い方の説明より、「この文をコピーして、日付だけ変えて使ってください」のほうが圧倒的に広まります。
できた成果物を見せる
効率化の説明を聞いても人は動きません。実際にできた議事録や資料を見せるほうが早いです。 私が社内で本の話をしたときも、質問はやり方ではなく「本当にできるのか」に集中しました。 人が知りたいのは方法より、それが可能だという事実です。
6. 先に決めておくルール
始める前に社内で確認しておくべきことがあります。あとから問題になると、取り組み自体が止まります。
- ✓何を入力してはいけないか。個人情報、顧客情報、社外秘。とくに文字起こしを扱うときは要注意です
- ✓対外文書に使う場合の承認手順。誰が最終確認するかを決めておく
- ✓会社の既存ルール。多くの企業には既に何らかの規定があります。まず確認してください
この記事の内容を詳しく書いた本
1つのAIを、チームにする。
資料作成のClaude仕事術
議事録から企画書まで、役割を分けて指揮する方法を全7章で解説しています。 対象読者はプログラミング知識ゼロの非技術系ビジネスパーソンです。
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